「薬剤師実務のアウトカム -薬剤師の貢献を示すアウトカム研究を始めるときに読む本-」を発刊しました

2019年10月13日(日)、薬剤師実務のアウトカムをまとめた日本初の書籍として「薬剤師実務のアウトカム -薬剤師の貢献を示すアウトカム研究を始めるときに読む本-」を発刊しました。

全国の書店および、Amazonにてお買い求めいただけます。

患者さんのために何ができるのか 薬剤師の存在価値をエビデンスとして示す

薬剤師実務により「どのような成果が得られたのか」を目に見える形にできるアウトカム研究。
薬剤師実務の発展のため、薬剤師実務への理解を得るために役立つ研究ですが、まだ歴史が浅く、研究デザインや研究方法を修得する機会は限られています。

そこで、これから「薬剤師実務のアウトカム研究」に取り組もうとする読者に向けて、「入門編」ではアウトカム研究を理解するための解説を、「事例編」では20のアウトカム研究論文の著者自らが、研究を行った背景・研究デザイン・結果の概要、課題などを紹介しました。

アウトカムを表現するための工夫を凝らしたさまざまな研究デザインを比較しながら読んでいただくことで、理解が深まる一冊です。

事例編でとりあげている「薬剤師実務のアウトカム」

・薬剤師が医師と協働して高血圧症者に積極的に介入すると、良好な血圧コントロール、降圧薬の休薬あるいは減量、ライフスタイルの改善をもたらす
・薬局薬剤師が降圧薬服用患者に生活習慣改善の情報提供を行うことで、血圧のコントロールが改善する
・薬剤師による糖尿病療養支援は、患者の理解度、QOL、血糖コントロールを改善させる
・薬局薬剤師による短時間の動機づけでもHbA1cは改善する
・薬剤師による外来喘息教室での服薬指導は、吸入薬の治療効果や患者のアドヒアランスを向上させ、患者満足度も高い
・【笠間モデル】医療機関と地域連携の下、薬局を訪れた禁煙希望者に薬剤師が関わることで、禁煙成功率が上がる
・外来がん患者への薬学的介入は医療経済効果がある
・病院薬剤師が診察前面談を行うことで、患者のQOLを維持又は向上させる
・慢性期統合失調症患者の処方に薬剤師が介入することで、抗精神病薬の用量や数を減少させ、医療費を下げる
・透析患者における血清ヘモグロビン値の適正化に薬剤師介入は有用である
・薬剤師の視点を生かす外用療法のフルタメソッドは褥瘡を早く治せて治療効果を向上させる
・薬局薬剤師がお薬手帳を用いて外来患者に関わることで、患者安全が高まる
・長期投薬中の患者への薬局薬剤師による電話支援は、問題への早期対処、治療意欲の向上につながる
・薬剤師が訪問業務に積極的に取り組むことは、薬物治療の質を向上させる
・薬剤師がいない二次離島で薬剤師が「お薬説明会・相談会」をすると、薬剤師への認識度が高くなる
・薬剤師がTDMにより治療早期に介入することで、抗MRSA薬の治療効果を改善できる
・薬剤管理指導業務の実施は、患者の薬物治療への理解度を高め、薬を服用することへの不安を軽減し、服薬コンプライアンスを高める
・薬剤師の病棟勤務時間が長いほど薬剤が関連するインシデント発生数は少ない
・薬剤師が処方入力支援に介入することで処方内容及び薬剤費が適正化される
・集中治療室で医師と薬剤師が協働してストレス潰瘍予防薬のプロトコールを作成・導入することで、臨床的に意義のある消化管出血を減少させた

編者 亀井美和子(日本大学薬学部・教授)よりメッセージ

医療はストラクチャー、プロセス、アウトカムの各側面から評価されますが、薬剤師の専門性は「目に見えにくい」という特性を考えると、「どれだけやったか」(プロセス)だけでなく「どんな成果が得られたのか」(アウトカム)をわかりやすく示さなければ、薬剤師実務への理解は得られないでしょう。薬剤師が薬物療法の適正化に欠かせないことを薬剤師以外の人々に理解してもらう必要があります。

本書はこれから薬剤師実務のアウトカム研究に取り組もうと考えている読者の参考となるように、「入門編」ではアウトカム研究を理解するための解説を、「事例編」では国内多くの学術論文からアウトカムの種類や研究デザインが偏らない構成となるように論文を抽出し、各論文の著者にその研究を行った背景、研究デザイン・結果の概要、課題などを執筆いただきました。

アウトカム研究は研究だけで終わらせるものではありません。アウトカム研究を通じて、薬剤師実務が発展することを心から願っています。

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